「マインドフルネスって、一体なんなの?」「瞑想やヨガとは何が違うの?」
そんな疑問にお答えすべく、マインドフルネスの概要や医療とのかかわりについてまとめました。
さらに疑問がわいた方は、ぜひ当プログラムのオリエンテーションでご質問ください。
そもそもマインドフルネスとは?
マインドフルネスとは、瞑想を取り入れた「メンタルセルフケア」の実践です。
その目的は、「今この瞬間の体験に注意を向ける」ことを通じて、心にゆとりを作り出すこと。主眼となるのはあくまでも、自らの心身を労れるようになるための、セルフケア技術の習得です。
1979年にアメリカで誕生して以来、難病患者の方々が抱える治療困難な痛みをやわらげるために活用されてきたマインドフルネス。2000年代にはうつ病の再発予防にも有効であると実証され、徐々に心理療法の分野にも広まっていきました。
当院で提供しているのも、こうした医学的な検証と体系化を背景としたマインドフルネスのプログラムです。
こころの不調と「うまく付き合う」ために
マインドフルネスの特徴は、心身の不調に対して、投薬等で自らを「変える」のではなく、「心の状態に自ら気づき、自身をケアする力を育む」ことによって向き合うことにあります。
たとえば「こうありたい」「こうあるべき」といった理想とのギャップを埋めようとしてストレスを感じてしまう心の習慣を自覚し、「そうした心の動きを自然なものと認め、自らいたわる」こと。こころの不調を取り除くのではなく、その不調といかに「うまく付き合う」か。
その技術を身につけるのが、マインドフルネスの目的です。
マインドフルネスが真価を発揮するのは、「不調や不安の出どころを取り除けない」時です。
たとえば妊婦さんの心身の不調や、ビジネスパーソンの慢性的な不安感。
その原因を取り除きたいと思っても、「妊娠」や「仕事」そのものをなくすことはできません。むしろ、なくせないものをなくそうとするからこそ、不調のサイクルが止まらなくなるのです。
マインドフルネスは、不調になりにくい心身をつくるためのトレーニングとしても役立ちます。近年、ビジネスパーソンやアスリートから注目を集めているのも、セルフケアの重要性が徐々に理解され始めてきたからかもしれません。
“マインドフルネスの広場 in 六甲”だから
できること
「マインドフルネスの広場 in 六甲」は、六甲の地で60年続く
精神科・心療内科専門病院「有馬病院」の臨床心理室が提供するプログラムです。
長年患者さんに向き合うなかで気付いたのは、精神科医療として問題を取り除く「治療」だけでなく、精神科医療の範囲をこえて問題と付き合うことをサポートする「支援」もまた重要だということです。
そして「治療と支援の両輪」で患者さんを支えるためには、マインドフルネスが必要不可欠だと考えるようになりました。
心身に不調を抱えた方にまず必要なのは「その方にとって最適な処置は何なのか」、「本当にマインドフルネスが最適なのか」というアセスメント(判断)です。
心身の状態によっては、マインドフルネスによって症状が悪化してしまうおそれもあるため、事前のヒアリングはとても重要になります。しかし、そうしたアセスメントができる医療機関によるマインドフルネスプログラムは、日本ではまだそう多くありません。
当院では、事前のヒアリングを通じて、それぞれの受講者の方に必要なプログラムを提案いたします。必要に応じて、適切な精神科の治療へとお繋ぎすることも可能です。
大事なのは、あくまでも「こころの不調」を抱えた方が生きやすくなること。
マインドフルネスは、あくまでもそのための手段のひとつなのです。
これからは、こころの不調も「予防」する時代。
マインドフルネスを通じてセルフケアの技法を身につけ、
日々をしなやかに生きていきましょう。