マインドフルネスの広場 in 六甲
こころの豆知識 認知療法のあれこれ

認知療法のあれこれ #2

Aaron T. Beck, MDはどんな間違いをおかしたというのでしょうか。

「精神の病理という、あまりにも否定的なものに眼を向けすぎていた。」

そう85歳の父Beckは娘Beckに話し、それを機に途方もない転換を試みた、というのです。

「もっと肯定的なものに重きを置く必要があった。」

2023年5月30日に東京で開催されたワークショップでは、父Beckのコペルニクス的転回の

成果が娘Beckから紹介されました。

回復をめざす認知療法(recovery-oriented cognitive therapy : CT-R)です()。

回復とは、それぞれの人が自らの価値観や願望と一致した形で、自らの生活を営めている

「時」のことです。

人生の目的や希望、人との結びつき、安全と快適、能力や自己制御などを高めていくのです。

症状や否定的な認知、不適切な対処法に力点があるのではないのです。

むしろ肯定的な感情や適応的な認知に軸足を移動させるのです。

高齢の父Beckが壮年期から培ってきた旧来の視点に固執することなく、正反対とも言える大きな

方向転換を完遂したことに、強い印象を受けるのは、娘Beckだけに留まらないでしょう。

“You can change!” という期待が輝き始めます。








文責:井上和臣
6月の花〈エーデルワイス〉の花言葉・・・尊い思い出、忍耐

は下記の文献をもとに作成した。
 Aaron T. Beck, Paul Grant, Ellen Inverso, et al.: Recovery-Oriented Cognitive Therapy
 for Serious Mental Health Conditions. The Guilford Press, 2020.

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