2023.7.10
詩+色 #2
マインドフルネスにまつわる、日々の瞬間瞬間の気づきを、詩などを通してご紹介します。
「時間どろぼう」と対峙する有名な物語からの一文です。
主人公モモは、効率的か役立つかといった価値判断基準に基づき倹約した人々の「死んだ時間」を奪う灰色のおとこたちから、人々の時間を取り返します。特別な力を持たない子どもであるモモがそれを成し得たのは、時間をかけてじっくりと自他の話を聴き、言葉を吟味し、そして自分の感覚に信頼をおいて、意識的に行動する勇気を持っていたからです。
モモという人物像は、マインドフルネス実践における態度そのものとも言えます。
物語ではモモがその態度と行動で人々の「生きた時間」を取り戻しましたが、モモという存在は、私たちが本来持っている力にほかなりません。
自分の心や体の声に時間をかけて耳を傾け、自分の感覚に信頼をおくこと。それは自分の心や体、いのちを大切な価値あるものとして扱うということでもあるように思います。
自分へのマインドフルな態度と実践が、自分自身を癒す力となるでしょう。
文と写真:橋本麻里子
<引用文献>
Ende, Michael. (1973). MOMO. Thienemann in Thienemann-Esslinger Verlag GmbH.(ミヒャエル, エンデ. 大島 かおり(訳).(1976). モモ 岩波書店)